2016/3/17 木曜日

ドクターハートのつぶやき 心房細動

Filed under: プライベート — yo @ 10:59:17

心房細動は、比較的に多い、特に高齢者では多くみられる不整脈です。

心房は、血液を体循環へ拍出する「左心室」(ポンプ)の上流(左心房)、や肺循環へ拍出する右心室の上流(右心房)に位置します。

心房は、心室が拡張するときに収縮し、血液を心室へ送りこみます。心房の収縮、心室の拡張は、同期がとれていて、うまくかみ合うようになっています。

心房細動は、この心房が、「統制のとれていない、細かく震えている」状態です。

もはやポンプの役目は出来なくなり、単なる血液の通り道(導管conduit)、血液の貯留湖(reservoir)、と化します。

このため、心房内の血流は停滞し、淀み、凝血塊(血栓)を作りやすくなります。

また、心室への、上流からの「おしこみ」効果が減少し、心室の拡張期の容量が減じ、結果として、心室からの拍出量も減少します。

心房細動は、多くは無害性ですが、稀に生命を脅かす合併症を引き起こすこともあります。脳血栓などの血栓症や心不全等です。

先に述べましたように、血液の淀みが生ずると心房内に血栓が出来やすくなります。

心房の壁に血栓が発生し、へばりついて育ち、その表面の血栓が剥がれて血流に乗って、全身に運ばれることになります。

その血栓が、脳血管にとどまると、脳血栓症(脳梗塞)をひき起こします。

肺炎などで、高熱が出ると、呼吸・心拍数が増加します。

いわゆる頻拍性心房細動となります。更なるポンプ効率の低下、心拍出量の減少を来たし、

結果、尿量は減少、また、心臓の上流、肺にうっ血を来たします。即ち、心不全を発症することになります。

心房細動は、若い人では少ないものの、その若者もいずれ高齢者への道へ進むことは避けられないこと、知識として、蓄えておきたいものです。

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