2021/4/12 月曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: 未分類 — yo @ 15:35:49

機能的僧帽弁閉鎖不全症functional mitral regurgitation

福岡医療専門学校  顧問  桑木絅一(循環器専門医)

僧帽弁は、左心室にあって、左心室が拡張するときにここを介して、血液塊が一気に左心房から左心室内に送り込まれます。左心室の収縮開始と同時に閉鎖し、左心房への血液逆流を阻止します。しかし、左心室からの強い血流を直に受けることになります。僧帽弁は、それに付着する乳頭筋や腱索の働きで、収縮期に血流に押されて僧帽弁が左心房側に反転しないように引っ張られます。ところが、心不全が進行すると、左心室の拡張が起こり、それに伴って、心室内の構造が変化します。(これをremodelingと呼びます) 
その結果、僧帽弁組織が緩んで収縮期に血流が左心房側に漏れることがあります。即ち、僧帽弁閉鎖不全症(Mitral Regurgitation MR)です。弁組織それ自体が痛んでいるわけではありません(即ち 弁の病気でなく機能的な障害)「機能性僧帽弁閉鎖不全症functional MR」と称します。これは、通常では無害ですが、心不全が進行した状態では、先のremodeling の影響もあって、有害な僧帽弁不全として働き、心不全を悪化させます。
これに対しては、最近、カテーテル介して手術器具(針、 糸など)をとうして、僧帽弁腱索を縫い縮めて弁の逆流を止める手術法が一般的になってきました。これにより、心不全の増悪化が予防され、予後の改善につながっています。
functional と、いかにも無害性な「ひびき」ですが、心不全下の心臓にあっては、由々しき事態をひきおこしかねないことを理解しておくべきでしょう。

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