ドクターハートのつぶやき(89)
福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)
今回は、サルコイドーシスについてふれてみたいと思います。
この疾患名は、聞き慣れないという方が多いかと思います。これは、原因不明の全身性肉芽腫性疾患です。因みに肉芽とは、新生結合組織で、肉眼的に顆粒状の組織に見えるところから、肉の芽という字が当てられ、新生物であるところから腫瘍の「腫」があてられていますが腫瘍ではありません。
この疾患は、呼吸器病変を伴うことが多く、胸部レントゲンや胸部CT検査などで発見されることが多いのですが、ほぼ全ての臓器で発現します。
確定診断のためには、組織検査(生検)が必要です。
臨床症状は、肉芽腫発現の部位により様々です。
多くは、無症状、ないし軽度で、このためにかえって発見が遅れてしまいます。
心臓が疾患の場―心臓サルコイドーシスは、高度房室ブロックや、異常な心室壁運動のため、心電図や、心エコー図など通常の臨床検査により発見されることが普通です。
病因論としては、アレルギー反応の考えが有力です。
本疾患は、まだまだ未知の部分が多く、今後の研究に委ねるところが多い分野です。