2023/2/3 金曜日

ドクターハートのつぶやき90

Filed under: プライベート — yo @ 9:08:15

心不全症状(うっ血)は心室の伸展性(コンプライアンス)の低下により起こる

福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)

今回は、心不全の主な症状である、「うっ血」がなぜ起こるか?について、その経路について解説します。
うっ血を来す経路の「原点」は、左心室の伸展性(コンプライアンス)の低下です。左心室は、収縮により拍出を終わり、拡張期に入り、拡張末期には最低圧となります。左心室の伸展性(即ちコンプライアンス)の低下があると、
左心室は最大に拡がりきれず、この末期圧が高いままで、次の収縮につながってしまいます。本来、拡張末期には、心内にかかる圧をにがしてしまうべきなのに逃がすことが出来ずに、拡張末期圧の上昇があり、このわずかの圧の上昇が持続すると、左心室の上流に当たる、肺血管床の圧が上昇し、肺静脈圧上昇、ひいては肺浮腫等心不全の症状を呈することになります。
この時、交感神経系の緊張が増し、脈拍数が増加し、BNP等抗心不全物質の分泌が促され、心不全に抗しようとします(即ち代償機構が働きます)。
心不全は、これら、代償機構が破綻した結果生じた、状態、ということがいえます。心不全の治療として、このコンプライアンス増強する方法、即ち、心室筋や血管系の柔軟性を増す、血管拡張薬等が好んで用いられています。これは、最近一般的になったことです。

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