ドクターハートのつぶやき94
降圧利尿薬としてのミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)
治療抵抗性高血圧症(即ち、サイアザイド利尿薬を含む3種類以上の降圧薬を用いているにもかかわらず、目標とするとする降圧が得られない高血圧症)に対しては、ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬(スピロノラクトン)が推奨されています。
このグループの市販薬としては、アルダクトンA、セララなどがあります。
これまで、スピロノラクトンは他のサイアザイドなどの降圧利尿薬に比べて利尿作用、降圧効果とも弱いために、降圧利尿薬としてはその使用は消極的でした。しかし、経験的には、スピロノラクトンには弱いながらも降圧効果があること、カリウムなど電解質バランスに対する影響が少ないこと、心筋保護作用があること、など利点も多いことが分かっていました。そこで 最近、降圧利尿薬として再認識され、きたというわけです。
本薬にも、長期使用時には、注意が必要です。まれに高カリウム血症になることもありますが危険なレベルまでになることはまれです。その意味からも、本薬は使いやすいといえましょう。今回は、古くから用いられている、スピロノラクトンが新しく見直されてきている、という話題でした。