2019/8/21 水曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 11:39:25

心不全は 中枢性睡眠時無呼吸(CSA)を発生させる

福岡医療専門学校   顧問 桑木絅一(循環器専門医)

以前、睡眠時無呼吸症候群SASSleep Apnea Syndrome)は、気道の閉塞が原因であり、高血圧症など循環器疾患のリスクファクターである、ことを解説しました。

(つぶやき(49) 20190215)  

しかし、稀には気道の閉塞がないにも関わらず睡眠時無呼吸症が発現することがあります。即ち、心不全が原因で発現する、中枢性睡眠時無呼吸(CSA:Central Sleep Apnea )です。

心不全により、肺うっ血が発生します。これは、夜間 睡眠中に重症化します。肺うっ血が増強すると、呼吸は深く、大きくなります。(過呼吸) その結果、多くの酸素も取り込まれますが、同時に炭酸ガスは排出され、血中の炭酸ガス濃度は低下します。因みに、血中炭酸ガスは呼吸中枢を刺激して呼吸を早く、深くする働きがあります。過呼吸の結果、血中の炭酸ガス濃度が低下すると、呼吸は抑制されます。さらに、心不全状態では、交感神経緊張状態にあり、このため、呼吸抑制反応は増強され、呼吸停止、即ち、無呼吸状態に至ることがあります。即ち、CSA 中枢性無呼吸です。なお、呼吸停止中に血中の炭酸ガス濃度は上昇し、呼吸中枢を刺激して、大きな呼吸とともに、呼吸は再開されます。

通常のSASに対しては、CPAP(シーパップ:持続気道陽圧)など、呼吸補助治療法が開発され、一定の効果が認められていますが、CSAには種々呼吸補助手段の研究は進められていますが、未だこれぞという成果がありません。原因となっている心不全の治療に専念するしか治療法がないのが現状です。

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