2021/7/26 月曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 18:10:27

新しい病態“MINOCA”について
福岡医療専門学校  顧問  桑木絅一(循環器専門医)

 急性心筋梗塞は、冠動脈に発現した血栓によって冠血流が閉ざされ、潅流域の心筋が虚血、ひいては壊死に至る病気です。冠動脈造影により原因となった血栓影や、その名残などを描出することが出来ます。
 一方で、まれに、冠動脈造影でなんら異常を検出できず、心筋梗塞の原因が不明のままの症例が知られていました。これに対しては、造影時には原因となった血栓が溶解してしまった、冠攣縮など冠動脈を閉塞させるその他の原因があった、などが憶測されていましたが、不明のまま経過しているものがほとんどでした。
 最近になってこのような病態に、MINOCA myocardial infarction with non-obstructive coronary artery (冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞)という名称が提示され、広く認知されるようになりました。
 この病態は、急性心筋梗塞の8パーセント程度の多きにみられ、実は心筋梗塞の真の原因についてさらに詳細な検討が必要とされている、いわば未知の部分を含んだ、現時点での過渡的な診断と理解されています。
 心筋梗塞の発症機序に関しては、まだまだ未知のことが多く残されていて、今後さらなる検討必要である、ということでしょう。

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