2017/9/19 火曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: キャンパスライフ — yo @ 9:00:35

高血圧症予防ワクチンの実用化近し 

ワクチンは、ウイルスや細菌など病原体(抗原、タンパク質がその構成要因)に対して抗体として働き、病原体を排除して、疾患の発症を予防する目的で開発、臨床応用されてきました。ポリオワクチン、インフルエンザワクチンなど、身近な存在でしょう。しかし、高血圧症に、ワクチン? 直ぐには、ピンと来ないのではないでしょうか。ワクチンを注射しておけば、高血圧にならずにすむというアイデアです。実は、高血圧症のワクチン療法研究は30年ほど前に開始されました。そして、今や、数年のうちには実用化されそうです。

高血圧の発症、持続にもいくつかの昇圧物質(タンパク質)が関与しています。レニン、アンジオテンシン、など聞き覚えのある名称でしょう。これらを ターゲット(抗原)として、ワクチンが働き、抗体が作られ、昇圧物質である抗原が排除される、というアイデアです。具体的には、これら昇圧物質のDNAを体内に注射して送り込みます。このDNAが組み込まれた昇圧物質は、異物として(つまり抗原として)免疫機構に認識され、抗体が出来、昇圧物質を排除するに至る、ということになります。

 ワクチンが実用化されれば、その降圧効果は長く持続(例えば、年1回の注射)することになります。現在多くの高血圧患者がかかえている問題、例えば、毎日の服薬の煩わしさ、降圧薬の飲み忘れなど、服薬治療に関する不便さから解放されることになり、高血圧治療にとって、新しい選択肢が増えることになります。

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