2016/5/17 火曜日

ドクターハートのつぶやき 急性冠症候群 ACS(Acute Coronary Syndrome)

Filed under: プライベート — yo @ 15:41:21

「突然、激しい胸痛に襲われ、救命救急センターに搬送され、冠動脈血流再開処置を受けて回復、数日後には日常の生活が出来るようになった」という話を身近で聞いたことはありませんか? 恐らく、心臓を栄養している冠動脈内に血栓が出来、その血流が閉ざされたことにより、心筋虚血となって起こった症状(胸痛)が、早期に血栓除去、血流再開(再灌流)が出来たことにより、死に致るかもしれない心筋壊死(心筋梗塞)にならないで、軽快したものでしょう。

一方、同様な発症でありながら、数分で胸痛が消失することもあります。狭心症発作です。このときは、結果的には入院の必要がなかったということになります。

心筋梗塞と狭心症、発症直後は、症状からも、心電図などの検査の上からも区別できません。そのため、まずは、致死的な「心筋梗塞」の発症かもしれないと考え、対応することになります。この時の病名が急性冠症候群です。後に心筋梗塞、あるいは狭心症と診断されます。その後、いったん落ち着いた段階で冠動脈疾患として、改めて検査・治療を進めることになります。

医療の現場では、常に、より悪い病態を想定して対応します。

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