ドクターハートのつぶやき
コレステロールはどこまで下げる?
lower is better:PCSK9阻害薬の登場
lower は、low「低い」の比較級、betterは、good「よい」の比較級、「低ければ低いほどよい」という意味;受験英語を思い出した人も? 実はこれは最近のコレステロール値についてのコメントです。
コレステロール(正確にはLDLコレステロール、いわゆる悪玉コレステロール)が高いことが動脈硬化性疾患、特に冠動脈疾患のハイリスクであることは、既にひろく知られていることです。そして、その治療薬として、スタチンと総称されているグループ(メバロチン、クレストールなど)が使用されています。そのおかげで、コレステロールの管理はかなり容易になり、虚血性心疾患の予後は、著しく改善しました。
それでも治療抵抗性のケースも多くあります。
最近、スタチンとは異なったメカニズムでコレステロールを下げることが出来る、PCSK9阻害薬(エボロクマブ、アリロクマブ)が登場しました。これは、スタチンでも治療が困難であった高コレステロール血症にも効いて、そのコレステロールを下げることが可能となりました。また、下げすぎても都合の悪い事象は出現しないことも分かりました。
この様な背景から、コレステロールをどこまで低下させるか、その「目標値」についても議論されています。そして、その結論がタイトルのことばです。
コレステロールは低いに越したことはなく、下げられる限り下げましょうというのが現在の考え方です。
PCSK9: proprotein convertase subtilisin/kexin type 9