2018/9/18 火曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: キャンパスライフ — yo @ 10:13:35

ASO:閉塞動脈硬化症

Key word:  ASO  間欠性跛行  PolyVD ABI  QOL

今回は、下肢の動脈硬化症のお話です。

動脈硬化症は全身どこの動脈にも発現します。脳動脈硬化症、頸動脈狭窄症、冠動脈硬化症、大動脈硬化症、腎動脈狭窄症、等はすぐに思い浮かぶのではないでしょうか。

下肢動脈にも動脈硬化性病変が発現することがあります。そのとき、血流が阻害される症状がみられることがあります。即ち、安静時にはなんら症状がないのに、歩行を続けると下肢の虚血が引き起こされ、筋肉痛、しびれ、等のために歩行を続けられなくなり(跛行)、しばらく休めば血流量が回復し、また正常に歩くことが出来るようになります(間欠性跛行)。このような下肢の動脈硬化症を、閉塞性動脈硬化症(ASO ArterioSclerosis Obliterans) と称します。それ自体は、すぐに生命を脅かすものではありませんが、生活に多大な不便を生じます。つまりQuality of Life  QOLの低下です。血管拡張薬や、外科的処置により下肢動脈血流を改善することはかります。

ASOに関しては、症状が発現する前にこの病態を疑う簡単な検査があります。それは、上肢と下肢の血圧を測定し、比較することです。下肢の血圧(Ankle Blood Pressure)は正常では、上肢の血圧(Brachial Blood Pressure)より高いので、これらの比、即ちAB比、B÷A(これをABI Ankle Brachial Index といいます)は、「1」以上となります。もしこの値、即ちABI0.9となると、下肢動脈の狭窄が疑われます。因みに、実際に先の症状が出現するのは、ABI0.6といわれています。

動脈硬化症は、全身性疾患です。同時に2カ所以上に動脈硬化性病変が出現することも少なくありません。これをpolyvasucular disease  PolyVD と称します。  ASOがあれば、他の動脈硬化性血管病もある確率は高いと考えるべきです。検査が容易なABI測定を、他のPolyVDの早期発見、早期治療につなげたいものです。

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