2018/10/25 木曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 11:09:46

HDLコレステロールは、血管壁から動脈硬化症の元凶であるLDLコレステロールを抜き取ります。このため善玉コレステロールと呼ばれます。これに対して、先のLDLコレステロールは、悪玉コレステロールと呼ばれています。

HDLコレステロールは、40mg/dl 以上であることが基準値とされています。これを下回ると、動脈硬化症のリスクが増します。因みに、LDLコレステロールの基準値は、<140mg/dlです。

一方、HDLコレステロール上限に関しては、明らかな基準値が定められていません。むしろ、高いことがよく、高値を見たとき、『長生き症候群』(longevity syndrome)と喜びさえします。

ところが、最近、これに対して異論が出されました。HDLコレステロール値90mg/dl 以上の超高値群では、それ以下の基準値群に比しむしろ動脈硬化性血管病が多いというものです。

LDLコレステロール血症の改善に対しては、「スタチン」と総称されている薬剤が有効で、既に広く用いられています。 しかし、HDLコレステロールを増加させる薬剤はまだなく、運動療法が唯一の方法となっています。低HDL血症の改善に臨床現場では苦労しています。

ところで、適当量のアルコール摂取は、HDLコレステロールを上昇させます。飲酒家には朗報(?)、ただし、飲みすぎは当然健康障害を引き起こします。

HDLコレステロール血症には、遺伝的素因、体質的因子の関与が大きく、食事療法、運動療法だけではその改善は困難とされています。従って、高LDLコレステロール血症、高中性脂肪血症、糖尿病など、併存する治療可能な動脈硬化症のリスクを少なくしておきたいものです。

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