中性脂肪TG(トリグリセリド)にも注目して下さい
福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)
動脈硬化症を見据えたメタボリック症候群(メタボ)の診断基準は、
○腹腔内脂肪蓄積(ウエスト周囲径男85、女90cm以上)
+ 以下の2項目以上
○TG≧150mg/dl and or HDL<40mg
○収縮期血圧≧140mmHg and or 拡張期血圧>90mmHg
○空腹時高血糖 ≧110mg/dl
となっています。ここでは、TGは、危険因子として採用されています。
にもかかわらず、メタボリック症候群の受診勧奨基準としては、TG 300mg/dl以上とやや甘く設定されています。
臨床の現場でも、高中性脂肪(TG)血症はLDLほどには深刻には受け取られていないのも事実です。
TGは、エネルギー源として必要不可欠ですが、余剰TGは、体内、特に内臓脂肪として、蓄えられ、体重増加の主因となり、メタボの主役となっています。
また、TGには、LDLコレステロールのように、直接動脈硬化症をひきおこす作用はありませんが、悪玉LDLコレステロールを小型化することにより、それが血管内壁に入りやすくする作用があり、動脈硬化の発症・進展に悪影響を及ぼす因子と考えられています。
この観点から、高TGにも、注目してほしいと思います。