ドクターハートのつぶやき
睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome )は高血圧症の
一大リスクです
福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、循環器疾患の発症リスクを増大させる病態として、注目されています。その中でも、高血圧症では、治療抵抗性高血圧症との関連で、とくに重要視されています。アメリカでは、二次性高血圧症の原因の一つとして数えられているほどです。
SASは、睡眠中に呼吸停止が頻繁に起こることと定義されています。 呼吸停止には、換気が十分でない、低呼吸も含まれます。この呼吸停止が1時間に5回以上見られるとき、本病態であると診断されます。
SASでは、昼間の眠気、頻回の夜間覚醒、覚醒時の窒息感、動悸(高血圧)、などの徴候が知られています。
また、日間血圧変動幅が大きいこと、夜間睡眠中の降圧が不十分であること、早朝高血圧を呈すること、などの特徴がみられます。
SASの無呼吸回復時には、著しい血圧上昇がみられ、生体にとって不利益な、大きな血圧変動につながります。
SASには、交感神経系、RAAS(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)の活性化が伴われ、結果として、臓器障害と循環器疾患のリスクを増大させます。
このように、SASは、高血圧症を発症させるのみならず、そのコントロールも困難にしています。
高血圧を見たとき、その背後に潜むSASを見逃さないようにしなければなりません。