ドクターハートのつぶやき(67)
新しい不整脈治療ガイドライン2020が歩き始めました
福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)
不整脈治療ガイドラインが改定され、臨床応用されています。
その中から、最も身近な不整脈である心房細動に関連することについて、肝心なところを拾って紹介しましょう。
今回の改定では、心房細動に限らず、治療の目的が患者さんの「QOL」を第一に考慮しようという方向にシフトしました。この考え方から、心房細動の治療薬として、それまでは治療薬のスタンダードであった「ワルファリン」に代わって、最近、抗血栓治療薬として、広く用いられるようになってきた、DOAC(direct oral anticoagulants)がいわば、市民権を得ました。このグループの薬剤は、ワルファリンと異なり、薬物の効きぐわいや血液中の濃度などのモニターが必須ではなく、「有効である、有害ではない、」と信じて、服用しなさい、ということになります。これまでの使用経験の蓄積から、そこまで言い切ることが出来るようになったということです。医療に現場としては、安心して、新しいGLを使うことが出来、心房細動による血栓予防に躊躇なく使用することが可能となりました。