ドクターハートのつぶやき
腎デナベーション
福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)
腎臓は、交感神経を介して循環体液量の調節をしています。即ち、腎血流が減少した時に、それを感知して、その血流量を増やすために血圧を上昇させようとします。そして、その機能が破綻すると、必要もなく血圧をあげ、コントロールしにくいいわゆる治療抵抗性高血圧症や、高血圧性心不全などの発症につながります。
この時、交感神経系経路を遮断してしまおう、というアイデアが出てきました。すなわち、腎交感神経遮断術(renal sympathetic denervation、腎デナーベーション(RDN)です。
デナーベーション(交感神経遮断術)は、経カテーテル的に組織破壊用カテーテルを腎動脈に進め、そこに電流や超音波など腎動脈を内側から破壊する刺激を与えます。
破壊の方法としては、電流のほかに、アルコール、超音波、などが用いられています。
腎デナーベーションの結果としては、なかなか下がらなかった血圧が旨くコントロールできた、心不全発症や不整脈発現の予防につながった、など良い成績が報告されています。
高血圧が再発しないか?に関しては、この治療法がまだ治験段階であるところから、十分な検討が進んでいないのが現状です。
とはいっても、高血圧症治療の選択肢としておおいに期待されています。