ドクターハートのつぶやき
V=AR 電圧=電流×抵抗
皆さんは、この式を、理科(中学?)で学習した記憶があることでしょう。
しかし、今回は、理科(電気)のお勉強ではありません。これを応用して、血圧変動、ひいては動脈硬化の発症を考えてみようというものです。
血圧を考えるとき、血圧を電圧と置き換えるとより身近に感じてもらえるかな?と思い、この式を引っ張り出してみました。
家庭用電気で考えてみましょう。電圧は100ボルト、抵抗は電線で、それぞれ変動しません。変動するのは、電流(ワット数)のみです。これは、例えば暖房用ヒーターを使うと大きく、常夜灯として豆球を使う時は小さい、等、需要により変動します。
一方、血圧の場合は、この式は、血圧=血流量(つまり心拍出量) × 総末梢血管抵抗と置き換えることが出来ます。血圧は血流量が増えるとき、又は、総末梢血管抵抗が増加するときに上昇します。これらの要素のうち、血流量は、組織の需要によって変動します。例えば、運動時には大きく、安静睡眠中は小さくなる、等、変動します。心拍出量が増加するときには血圧も上昇します。しかし、その上昇は、短時間であり、そのために起こった高血圧は、動脈硬化を起こすほど長期間持続するものではありません。
一方、総末梢血管抵抗は、自律神経(交感神経)によって常に変動していますが、季節的な要素によって、またストレスの大きな期間、など、長期に抵抗が高いことも多く、この間高血圧が続くと云うことになります。この高血圧が続くことが、動脈硬化を引き起こす誘因となります。
高血圧を持続させないことが、言い替えれば、高い末梢血管抵抗を持続させないことが、動脈硬化の予防につながるということをいつも意識していましょう。