2021/6/1 火曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: 未分類 — yo @ 17:41:34

心不全では 心臓から「心臓ホルモン」(BNP)が分泌される
福岡医療専門学校 顧問  桑木絅一(循環器専門医)

 BNP(Brain Natriuretic Peptide)とは、心不全時に心臓から分泌される生理活性物質で、「心臓ホルモン」と呼ばれています。                        心不全が進行すると、全身のうっ血がすすみ、同時に心臓は拡大します。これは、心室の壁を伸ばし(壁応力増大)、これが刺激となって、心室壁からこれらの「ホルモン」が分泌され、心不全状態を改善させようとします。
心臓ホルモンは、本来、利尿作用、血管拡張作用、心肥大抑制作用、心臓繊維化抑制作用、等を有しており、心不全改善、心保護等に寄与するものですが、BNPを測定することにより、心不全の有無、その程度などを知ろうという、アイデアが生まれてきました。
他方、BNPを心不全の治療に生かそうという考えも出てきました。BNPを 薬剤として抽出し、静脈投与可能としました。現在では、心不全治療に欠かせないものとなりました。
はじめは、心不全時の現象としての観察事項であったものが、治療薬に進化を遂げた、というところでしょう。
心不全が心機能の面からのみ論じられていた時代から、体液的な、全身的な面から考えられるべき,となってきました。BNPは、その先駆者でしょう。

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