2021/6/23 水曜日

ドクターハートのつぶやき

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慢性冠症候群
福岡医療専門学校  顧問 桑木絅一(循環器専門医)

 急性心筋梗塞(AMI)は、冠動脈内膜の粥腫(動脈硬化症)の破綻に続く血栓形成により発症します。発症後心筋逸脱酵素や心電図変化などの経過を追って診断が確定します。その間は、急性冠症候群ACSと呼ばれ、AMI発症に準じて、冠動脈内血栓除去術、カテーテル治療(PCI)、バイパス術、などの積極的な治療が進められます。
ACSには不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞、ST上昇型心筋梗塞、心臓突然死、などが含まれます。
 心筋梗塞が軽快しても、そこには、その原因となった動脈硬化病変が残っています。この残った病変に対しての適切な呼称はありませんでしたが、最近 慢性冠疾患と呼ばれています。これに対しては、待機的な、じっくり構えた治療になります。即ち、薬物治療、リハビリなど内科的なものが主体となります。勿論、カテーテル治療も行われますが、カテーテルやステントにも抗血栓性の工夫が凝らされています。
 慢性冠疾患は、ACS発症前の冠動脈病変であると考えるにとどまらず、ACS発症を警戒、予防しなければなりません。その意味で、ACS予備軍として、ひとつの疾患単位と考えるべきでしょう。

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