2022/8/4 木曜日

ドクターハートのつぶやき(85)

Filed under: プライベート — yo @ 14:22:13

糖尿病治療薬変じて心不全治療薬となる:SGL2物語

福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)

SGL2(sodium glucose cotransporter 2)阻害薬は、糖尿病治療薬としてすでに広く用いられています。(ジャディアンス、フォシーガなど)
糖尿病には心血管病の合併症が多く、それがもとで心不全に陥っている例も少なくありません。この心不全が、糖尿病治療薬SGL2阻害薬使用中の例では、重症化しない、あるいは改善した、という予期せぬことが、頻回にみられました。そこで、糖尿病を合併していない心不全の症例では、その改善効果がみられるかどうか、検討されました。つまり、多数の心不全患者での大規模治験が組まれました。
その結果、本薬は心不全を改善する、心不全を予防する、と結論され、新たな、心不全治療薬として認められることとなりました。
このような「いきさつ」を経て、現在では、心不全治療薬として、広く用いられることとなりました。
通常、新薬は、治療効果があること、副作用がないことなどを確認して、市場に出されますが、本薬のように、すでに市場に出回っている薬剤に関しては、その副作用など、マイナス面の検討の必要はなく、効果についてのみ、検討が残っていることになり、医療経済の観点からも、歓迎されます。
 このような例は、あまりありませんので、紹介しました。

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