2021/6/23 水曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: 未分類 — yo @ 15:38:29

慢性冠症候群
福岡医療専門学校  顧問 桑木絅一(循環器専門医)

 急性心筋梗塞(AMI)は、冠動脈内膜の粥腫(動脈硬化症)の破綻に続く血栓形成により発症します。発症後心筋逸脱酵素や心電図変化などの経過を追って診断が確定します。その間は、急性冠症候群ACSと呼ばれ、AMI発症に準じて、冠動脈内血栓除去術、カテーテル治療(PCI)、バイパス術、などの積極的な治療が進められます。
ACSには不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞、ST上昇型心筋梗塞、心臓突然死、などが含まれます。
 心筋梗塞が軽快しても、そこには、その原因となった動脈硬化病変が残っています。この残った病変に対しての適切な呼称はありませんでしたが、最近 慢性冠疾患と呼ばれています。これに対しては、待機的な、じっくり構えた治療になります。即ち、薬物治療、リハビリなど内科的なものが主体となります。勿論、カテーテル治療も行われますが、カテーテルやステントにも抗血栓性の工夫が凝らされています。
 慢性冠疾患は、ACS発症前の冠動脈病変であると考えるにとどまらず、ACS発症を警戒、予防しなければなりません。その意味で、ACS予備軍として、ひとつの疾患単位と考えるべきでしょう。

2021/6/1 火曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: 未分類 — yo @ 17:41:34

心不全では 心臓から「心臓ホルモン」(BNP)が分泌される
福岡医療専門学校 顧問  桑木絅一(循環器専門医)

 BNP(Brain Natriuretic Peptide)とは、心不全時に心臓から分泌される生理活性物質で、「心臓ホルモン」と呼ばれています。                        心不全が進行すると、全身のうっ血がすすみ、同時に心臓は拡大します。これは、心室の壁を伸ばし(壁応力増大)、これが刺激となって、心室壁からこれらの「ホルモン」が分泌され、心不全状態を改善させようとします。
心臓ホルモンは、本来、利尿作用、血管拡張作用、心肥大抑制作用、心臓繊維化抑制作用、等を有しており、心不全改善、心保護等に寄与するものですが、BNPを測定することにより、心不全の有無、その程度などを知ろうという、アイデアが生まれてきました。
他方、BNPを心不全の治療に生かそうという考えも出てきました。BNPを 薬剤として抽出し、静脈投与可能としました。現在では、心不全治療に欠かせないものとなりました。
はじめは、心不全時の現象としての観察事項であったものが、治療薬に進化を遂げた、というところでしょう。
心不全が心機能の面からのみ論じられていた時代から、体液的な、全身的な面から考えられるべき,となってきました。BNPは、その先駆者でしょう。

2021/4/12 月曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: 未分類 — yo @ 15:35:49

機能的僧帽弁閉鎖不全症functional mitral regurgitation

福岡医療専門学校  顧問  桑木絅一(循環器専門医)

僧帽弁は、左心室にあって、左心室が拡張するときにここを介して、血液塊が一気に左心房から左心室内に送り込まれます。左心室の収縮開始と同時に閉鎖し、左心房への血液逆流を阻止します。しかし、左心室からの強い血流を直に受けることになります。僧帽弁は、それに付着する乳頭筋や腱索の働きで、収縮期に血流に押されて僧帽弁が左心房側に反転しないように引っ張られます。ところが、心不全が進行すると、左心室の拡張が起こり、それに伴って、心室内の構造が変化します。(これをremodelingと呼びます) 
その結果、僧帽弁組織が緩んで収縮期に血流が左心房側に漏れることがあります。即ち、僧帽弁閉鎖不全症(Mitral Regurgitation MR)です。弁組織それ自体が痛んでいるわけではありません(即ち 弁の病気でなく機能的な障害)「機能性僧帽弁閉鎖不全症functional MR」と称します。これは、通常では無害ですが、心不全が進行した状態では、先のremodeling の影響もあって、有害な僧帽弁不全として働き、心不全を悪化させます。
これに対しては、最近、カテーテル介して手術器具(針、 糸など)をとうして、僧帽弁腱索を縫い縮めて弁の逆流を止める手術法が一般的になってきました。これにより、心不全の増悪化が予防され、予後の改善につながっています。
functional と、いかにも無害性な「ひびき」ですが、心不全下の心臓にあっては、由々しき事態をひきおこしかねないことを理解しておくべきでしょう。

2020/8/28 金曜日

ドクターハートのつぶやき(66)

Filed under: 未分類, プライベート — yo @ 10:10:20

新タイプの心不全治療薬(イバブラジン)
心拍数は落とすが、心収縮機能は落とさない

福岡医療専門学校 顧問  桑木絅一(循環器専門医)

前回は、心不全治療薬として最もポピュラーな利尿薬について、最近になって用いられるようになった利尿物質:バゾプレシンV2受容体阻害薬についてお伝えしました。今回は、心臓の収縮力に影響なく心泊数みを落とすという、「イバブラジン」のご紹介です。
心不全では、末梢循環を保つために、心収縮力を増強、血圧上昇、心泊数増加(頻脈)、などの循環動態の反応が起こります。このうち、頻脈は、時として、不快感を増し、所謂QOL(quality of life)を損ないます。
この不快な頻脈を抑えるためには、これまでは、β遮断薬が用いられてきました。ところが、困ったことに、これは、心収縮力を弱めてしまいます。これは、心不全にとって、不利なことです。
新しく登場した、イバブラジンは、洞結節(心拍数を制御)のみを抑制(すなわち心拍数を少なくし)、収縮心筋には影響しません。つまり、心収縮力に影響することなく、心拍数だけを少なくすることが出来るというわけです。
実は、「心収縮力を弱くすることなく、心拍数だけを減ずる」という命題は、循環器医が長年取り組んできて、いまだ未解決の大きなテーマでもあります。
市場に出てまだ日が浅く、解決すべき問題も残っていますが、イバブラジンはその解決に大きく寄与するであろうという予感がします。

2020/1/23 木曜日

長崎県立北松農業高校のみなさんからの贈り物

Filed under: 未分類 — yo @ 14:01:24

長崎県立北松農業高校のみなさんから

すてきなお花の贈り物をいただきました!
IMG_4800_R.jpg

シクラメンです。すごくきれいでしょう(*^▽^*)

校内に置いていますので、どこにあるかな〜

と探してみてください!

まだまだ蕾がたくさんあるので・・たくさん咲きますように。

北松農業高校のみなさん、ありがとうございました(^^)v

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