2022/3/22 火曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 8:32:56

心機能を表す「EF」(Ejection Fraction 駆出分画)について

福岡医療専門学校 顧問  桑木絅一(循環器専門医)

「心筋梗塞発症後、心機能が低下し、心不全に陥った」という話を聞いたことがあるでしょう。今回は、この「心機能」を表す代表的な用語、EFについて解説します。
 単に心機能というときは、左心室の働き具合をいいます。左心室は、その拡張期に血液を蓄え、収縮期に拍出します。この左心室が1回に拍出するボリュームを1回心拍出量といいます。そして、拡張期の左心室容量の何%が拍出されたか、をEF ejection fraction 駆出分画といいます。心拍出量は左心室容量の全てではなく、正常でもその60%程度です。この時EF 60といいます。心機能が低下して、EF 30以下になると、心不全に陥ることになります。これをHFrEF(heart failure with reduced ejection fraction)と表現します。心機能の低下がないにもかかわらず、心不全に陥ることもあります。これは、HFpEF (heart failure with preserved ejection fraction)です。行き過ぎた補液の結果などにみられます
 このように、心不全を起こしている心機能状態を、EFを併記することにより、心不全がなぜ生じているのか、より具体的に理解することが出来ます。
なお、心室の容積は、心エコー法により、容易に求めることが出来ます。

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