ドクターハートのつぶやき96
動脈硬化症は炎症である
福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)
動脈硬化に関する最近の話題を紹介しましょう。
動脈硬化は血管内膜にLDLコレステロールなどの動脈硬化惹起物質が沈着、ないし浸潤して完成するとされていました。しかし、実はそう単純なものではなく、そこに炎症という機序が加わっているということがわかってきました。このことは、動脈硬化の成り立ちを考える上からだけでなく、当然その治療・予防にも抗炎症という観点が、必須となってきたということです。
更に、最近新たな脂質管理指標としてNon-HDL-C(LDL-Cを含んで、HDL(善玉)コレステロール以外のコレステロール全て)も広くもちいられるようになりました。また、TG(中性脂肪)は、これまでは動脈硬化という観点からはあまり重要視されていませんでしたが、正常値には変化ありませんが、その重要性が見直されてきました。
以下に脂質管理基準値を示しておきます。
LDL-C 140mg/dl以上
HDL-C 40mg/dl未満
TG 150mg/dl 以上
NonHDL-C 170mg/d
管理基準値を参考に、脂質の管理をタイトにしたいものです。