2023/8/3 木曜日

ドクターハートのつぶやき95

Filed under: プライベート — yo @ 16:04:23

浮腫(むくみ)について
福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)

浮腫(むくみ)とは、毛細静脈から組織間隙に血漿がしみ出たものです。
因みに、しみ出た血漿は、その後静脈系に戻ります。
血漿がしみ出るためには、毛細静脈圧の上昇がなければなりません。毛細静脈圧の上昇は、さかのぼれば、右室圧の上昇によりもたらされます。右室圧の上昇は、肺炎や、肺梗塞など右心系のトラブルの時だけでなく、心筋梗塞など左心系のトラブルでも、反映されて、右室圧、ひいては静脈圧の上昇を来たし、全身の浮腫を助長することになってしまいます。
即ち、浮腫は心不全の程度を反映、また心不全の有無をも反映している目安でもあります。
 浮腫が肺に及ぶとき、肺浮腫、肺水腫と呼ばれます。この時は、呼吸は苦しくなり、ゼーゼーと云った呼吸になります。ひどいときには、空気を含んだタンをはきます。(泡沫状の血痰:肺水腫の特徴)
この段階では、もはや単なる「むくみ」とはイメージが異なります。
種々のレベルでの「むくみ」は、心不全の有無、程度等を知る、重要な手がかりです。

2023/7/24 月曜日

ドクターハートのつぶやき94

Filed under: プライベート — yo @ 14:26:26

降圧利尿薬としてのミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
 福岡医療専門学校 顧問  桑木絅一(循環器専門医)

治療抵抗性高血圧症(即ち、サイアザイド利尿薬を含む3種類以上の降圧薬を用いているにもかかわらず、目標とするとする降圧が得られない高血圧症)に対しては、ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬(スピロノラクトン)が推奨されています。
このグループの市販薬としては、アルダクトンA、セララなどがあります。
これまで、スピロノラクトンは他のサイアザイドなどの降圧利尿薬に比べて利尿作用、降圧効果とも弱いために、降圧利尿薬としてはその使用は消極的でした。しかし、経験的には、スピロノラクトンには弱いながらも降圧効果があること、カリウムなど電解質バランスに対する影響が少ないこと、心筋保護作用があること、など利点も多いことが分かっていました。そこで 最近、降圧利尿薬として再認識され、きたというわけです。
本薬にも、長期使用時には、注意が必要です。まれに高カリウム血症になることもありますが危険なレベルまでになることはまれです。その意味からも、本薬は使いやすいといえましょう。今回は、古くから用いられている、スピロノラクトンが新しく見直されてきている、という話題でした。

2023/6/27 火曜日

ドクターハートのつぶやき93

Filed under: プライベート — yo @ 10:16:21

動脈硬化性血管病について

福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一 (循環器専門医)

動脈硬化症は、正式には「粥状動脈硬化症」と呼称されますが、血管壁その中膜に粥状の動脈硬化物質が沈着して、起こります。粥状物質の沈着がないまま動脈壁の動脈硬化性変性(壁の硬化、石灰化)を来すことも多く見られます。
この様な変性の結果、脳梗塞、心筋梗塞などの動脈硬化性血管病が生まれます。
動脈硬化症を促進させる因子として、高血圧症、脂質異常症(LDL高値)、糖尿病、運動不足などが知られています。最近では、高トリグリセリドTG血症も注目されています。
これらに対する治療は、食事療法を始め運動療法など、生活習慣の改善、が主になります。高LDL血症に対しては、薬剤スタチンが有望視されています。
動脈硬化症は、生涯にわたって長い年月を経て進行するものです。血管病が、あからさまになるまで、症状としては目立ちません。検査や、診察をまめに受け、その発症を早く知り、早く治療にかかりたいものです。

2023/4/29 土曜日

ドクターハートのつぶやき(92)コレステロール

Filed under: プライベート — yo @ 12:17:42

福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)

健診ではおなじみの「コレステロール」は、脂質のひとつで、神経組織や脳、肝臓などに多く存在しています。また、副腎皮質ホルモンや、性ホルモン、さらに、胆汁酸の原料としても、重要な物質です。

コレステロールには、以下の4種類があり、その主な役割は次のとおりです。
1:LDL 主に肝臓で作られたコレステロールを末梢の組織に運ぶ
2:HDL 組織中のコレステロールを肝臓に引き戻す(所謂善玉コレステロール)
3:VLDL 肝臓で作られた脂質を組織や筋肉などに運ぶ
4:カイロミクロン 主として中性脂肪を脂肪組織にはこぶなど(所謂悪玉コレステロールです。

血液中のLDLコレステロールが一定量を超えると(高コレステロール血症)酸化コレステロールとなり、動脈壁に沈着するようになり(悪玉コレステロール)、動脈硬化が進行します。

LDLを低下させる薬剤に関しては、スタチンをはじめ、多くの有効な治療薬が実用化されています。

HDLを増加させることも抗動脈硬化に有効と思われますが、その目的に合う薬剤の開発はおくれています。HDLを増加させるためには、唯一、運動療法が有効とされています。

2023/4/19 水曜日

台湾研修の様子☆

Filed under: キャンパスライフ — yo @ 17:08:34

4月11日(火)〜14日(金)の4日間、海外研修で台湾を訪れました。
2019年4月以来、4年ぶりの海外研修です。
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昨日は、2日目の4月12日(水)に訪れた台北医学大学での研修の様子についてお伝えしました。
本日は、台湾の文化に触れて楽しんだ様子のご報告です。

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3泊4日の研修中、九份・十分・忠烈祠・中正紀念堂・龍山寺・台北101などを訪れました。
いずれも台湾の歴史や文化、そして近年の発展に触れ・学ぶことができるスポットです。
台湾は異国ではありますが、どこか親しみや懐かしさを感じずにいられない素敵な場所でした。

皆様も、ぜひ機会があれば台湾を訪れてみてください☆

2023/4/18 火曜日

台北医学大学の皆様、ありがとうございました!

Filed under: キャンパスライフ — yo @ 15:43:21

4月11日(火)〜14日(金)の4日間、海外研修で台湾を訪れました。
2019年4月以来、4年ぶりの海外研修です。

4月12日(水)には台北医学大学にお邪魔させていただき、貴重な講義を聴講し、解剖実習も体験することができました。
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本校の学生たちは、様々な体験の中で、医学に関することだけでなく異文化に対する知見も身につけることができたと思います。
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講義をしてくださった教授陣、サポートしてくださった大学生の皆様、本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。

Thank you very much, Taipei Medical University!

We have visited Taiwan for four days as an oversea training program, for the first time in four years.

It was such a precious experience that we took valuable lectures and anatomy practice.
Our students must have gained not only medical knowledge, but also cultural experience through the all activities there.

We truly appreciate to the professors given us lectures, and students supporting us during the practice.

2023/3/23 木曜日

ドクターハートのつぶやき(91)

Filed under: プライベート — yo @ 15:37:08

起座呼吸

福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)

今回は、心不全の症状について、お話しします。
心不全の症状と云っても、目立つのは心臓の症状というより肺の症状、つまり呼吸困難、息苦しさ、です。
肺では、末梢の気管支枝などで気道の中の空気がはじかれて、ラ音と呼ばれる、肺雑音が生じます。我々は、これを聴いて、心不全ありと診断します。
心不全では、肺、つまり上半身のうっ血が症状の主体です。これを軽減するには上半身を高くします。つまり、起座位の方が楽に呼吸できます。これが起座呼吸です。
うっ血を改善するためには、利尿薬が用いられています。利尿薬の役目は、静脈血量を減らして、肺のうっ血を改善することです。

2023/2/3 金曜日

ドクターハートのつぶやき90

Filed under: プライベート — yo @ 9:08:15

心不全症状(うっ血)は心室の伸展性(コンプライアンス)の低下により起こる

福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)

今回は、心不全の主な症状である、「うっ血」がなぜ起こるか?について、その経路について解説します。
うっ血を来す経路の「原点」は、左心室の伸展性(コンプライアンス)の低下です。左心室は、収縮により拍出を終わり、拡張期に入り、拡張末期には最低圧となります。左心室の伸展性(即ちコンプライアンス)の低下があると、
左心室は最大に拡がりきれず、この末期圧が高いままで、次の収縮につながってしまいます。本来、拡張末期には、心内にかかる圧をにがしてしまうべきなのに逃がすことが出来ずに、拡張末期圧の上昇があり、このわずかの圧の上昇が持続すると、左心室の上流に当たる、肺血管床の圧が上昇し、肺静脈圧上昇、ひいては肺浮腫等心不全の症状を呈することになります。
この時、交感神経系の緊張が増し、脈拍数が増加し、BNP等抗心不全物質の分泌が促され、心不全に抗しようとします(即ち代償機構が働きます)。
心不全は、これら、代償機構が破綻した結果生じた、状態、ということがいえます。心不全の治療として、このコンプライアンス増強する方法、即ち、心室筋や血管系の柔軟性を増す、血管拡張薬等が好んで用いられています。これは、最近一般的になったことです。

2023/1/8 日曜日

ドクターハートのつぶやき(89)

Filed under: プライベート — yo @ 15:03:31

福岡医療専門学校 顧問  桑木絅一(循環器専門医)

 今回は、サルコイドーシスについてふれてみたいと思います。
 この疾患名は、聞き慣れないという方が多いかと思います。これは、原因不明の全身性肉芽腫性疾患です。因みに肉芽とは、新生結合組織で、肉眼的に顆粒状の組織に見えるところから、肉の芽という字が当てられ、新生物であるところから腫瘍の「腫」があてられていますが腫瘍ではありません。
 この疾患は、呼吸器病変を伴うことが多く、胸部レントゲンや胸部CT検査などで発見されることが多いのですが、ほぼ全ての臓器で発現します。
 確定診断のためには、組織検査(生検)が必要です。
 臨床症状は、肉芽腫発現の部位により様々です。
 多くは、無症状、ないし軽度で、このためにかえって発見が遅れてしまいます。
 心臓が疾患の場―心臓サルコイドーシスは、高度房室ブロックや、異常な心室壁運動のため、心電図や、心エコー図など通常の臨床検査により発見されることが普通です。
 病因論としては、アレルギー反応の考えが有力です。
 
 本疾患は、まだまだ未知の部分が多く、今後の研究に委ねるところが多い分野です。

2022/12/13 火曜日

12月10日(土)第1回入学予定者登校日を開催しました。

本校では、入学前サポートの一環として、例年12月と2月の2回、入学予定者に対して登校日を設けています。入学後、スムーズに学校生活をスタートきるように、また入学までの時間を有意義に過ごせるよう本校教職員、在校生がしっかりサポートします。
今回は、そんな当日の様子を紹介いたします。

こんにちは!!と元気よく先輩たちがお出迎えします!
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そして、各学科教室の入口で受付をして、いざスタート!!
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内容は各学科趣向を凝らしています。
学習課題のサポートや、入学後、スムーズに学習に取り組めるよう、今のうちから知っておいて欲しいことや、学習のポイントなど専任教員が丁寧に説明していきます。
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在校生の学校紹介もとても盛り上がりました。
実際にスライドを作成し学校生活や教員の紹介してくれました。
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いくつかのグループに分かれて、入学する前や、その後の話を先輩から聞く事ができました。
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学生支援課より、奨学金の説明や学費についての相談会をしてもらいました。
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令和5年4月から新設する歯科衛生科に入学する生徒は、最新設備の見学ツアーに行きました。
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最新の歯科ユニットを使用した実技体験は最高の経験になりました。
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今回の登校日も在校生との関わりがたくさんあり、とても楽しかったという声が多く聞かれました。
我々教職員も新鮮な気持ちになり、なんだかとても嬉しかったです。(^O^)
次回の入学予定者登校日は2月4日(土)に開催します。
皆さまとお会いできる事を楽しみにしています。
体調にはくれぐれも気を付けてお過ごしください。

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