ドクターハートのつぶやき95
浮腫(むくみ)について
福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)
浮腫(むくみ)とは、毛細静脈から組織間隙に血漿がしみ出たものです。
因みに、しみ出た血漿は、その後静脈系に戻ります。
血漿がしみ出るためには、毛細静脈圧の上昇がなければなりません。毛細静脈圧の上昇は、さかのぼれば、右室圧の上昇によりもたらされます。右室圧の上昇は、肺炎や、肺梗塞など右心系のトラブルの時だけでなく、心筋梗塞など左心系のトラブルでも、反映されて、右室圧、ひいては静脈圧の上昇を来たし、全身の浮腫を助長することになってしまいます。
即ち、浮腫は心不全の程度を反映、また心不全の有無をも反映している目安でもあります。
浮腫が肺に及ぶとき、肺浮腫、肺水腫と呼ばれます。この時は、呼吸は苦しくなり、ゼーゼーと云った呼吸になります。ひどいときには、空気を含んだタンをはきます。(泡沫状の血痰:肺水腫の特徴)
この段階では、もはや単なる「むくみ」とはイメージが異なります。
種々のレベルでの「むくみ」は、心不全の有無、程度等を知る、重要な手がかりです。