2019/3/20 水曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 12:16:24

脳卒中・循環器病対策基本法が成立しました

                                                        福岡医療専門学校  顧問 桑木絅一(循環器専門医)

昨年12月に、脳卒中・循環器病対策基本法(正式には、「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係わる対策に関する基本法」)が、衆議院本会議にて全会一致で可決、成立しました。

この法律の基本理念は、

生活習慣の改善などにより循環器病の予防を推進する、

循環器病患者に対して迅速な搬送と適切な治療を行える医療体制を整備する、

医療保険者に対しては、行政が行う循環器病の予防の普及啓発などの施策に対して、協力を求める、というものです。

脳卒中、心臓病は、日本人の死因の上位を占めており、これを何とかしなければ、という動きは以前からありましたが、国民の意見の集約が得られず、その方策については、実動にはいたっていませんでした。このたび、国もやっと重い腰を上げ、国民を巻き込んでその予防、治療への取り組みを始めた、といったところでしょう。

われわれも、生活習慣病予防につとめる、健診を受診し二次健診も積極的に受ける、など身近で出来るところから、動脈硬化症の予防に配慮し、本法の趣旨を理解し、その活動に参加してみてはいかがでしょうか。

2019/1/17 木曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 9:36:40

左心不全と右心不全

福岡医療専門学校   顧問 桑木絅一(循環器専門医)

 

以前に、心不全診療ガイドライン(つぶやき39)をご紹介しましたが、心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみがおこり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気と定義されています。今回は、これをもう少しかみ砕いて、解説します

心臓は、血液を拍出して、それを全身に供給する臓器です。つまり、「ポンプ」です。心臓には、二つのポンプ室があります。全身に血液を送り出す役目の「左心室」と肺に送り出す役目の「右心室」です。

さて、左心室が病気になる(心筋梗塞、心筋症など)と、ポンプ機能失調のため、心拍出量が低下し、全身の臓器に十分な血液の供給が行えなくなります。その結果、息切れ、倦怠感、尿量減少などの左心不全症状が出現します。この段階では、目立った心不全症状とは受け取られないことが多いと思います。

一方、典型的な右心不全を来す右心室の心筋梗塞では、そのポンプ機能が損なわれ、肺への拍出が不十分となります。血液は、右心室に滞り、さらに、その上流に当たる静脈系の血流鬱滞がおこり、静脈圧の上昇、血液水分のシミだし、が起こり、「むくみ」が発現します。つまり、右心不全です。心不全症状として、目立ったものになります。

右心不全を引き起こす病気としては、このほかに、肺梗塞、肺高血圧症などがあります。これらの病気では、右心室の下流である、肺動脈の血管抵抗の増加のため、右室圧が上昇し、その上流の静脈系の鬱滞を来します。

左心不全は、尿量減少、体液貯留などを引き起こし、結果、右心不全を引き起こし、両心不全となります。

いいかえれば、左心不全は、低心拍出量によるもの、右心不全は、静脈系の鬱滞によるもの、と極論できます。

しかし、両心不全を絵に描いたように左心不全、右心不全と分けることは出来ません。心不全〔両心不全〕の成り立ちを考えるとき、左心不全から発展した? 右心不全が起源? と考えることにより、治療方針の決定に役立たせることが出来ます。即ち、左心不全では、心拍出量を増す操作(強心剤投与)、右心不全では、体液量を減らす治療(利用薬投与)といった具合です。

今回は少し長くなってしまいましたが、何度か繰り返し読んで頂き、心不全の成り立ちについて理解を深めて下さい。

2018/12/28 金曜日

2018LastBlog

Filed under: プライベート — yo @ 9:53:31

みなさん、年末はいかがお過ごしでしょうか。

2018年もあと3日で終わりを迎えます。

「平成最後の・・・」とつく行事が多かったですね(^^)/

福岡医療は、12/29(土)〜1/3(木)まで学校休業日となっておりますので

ご了承くださいませ。

※福岡医療学院整骨院・鍼灸院は12/30(日)〜1/4(金)まで休診

来年も福岡医療の最新情報を更新してまいります。

ブログはじめ、その他公式SNSもどうぞよろしくお願いいたします。

それではみなさん、よいお年をお過ごしくださいませ。
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2018/12/20 木曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 9:44:28

中性脂肪TG(トリグリセリド)にも注目して下さい

 

福岡医療専門学校  顧問 桑木絅一(循環器専門医)

 

 

動脈硬化症を見据えたメタボリック症候群(メタボ)の診断基準は、

○腹腔内脂肪蓄積(ウエスト周囲径男85、女90cm以上)

+ 以下の2項目以上

TG150mg/dl and or  HDL40mg

○収縮期血圧≧140mmHg  and or 拡張期血圧>90mmHg

○空腹時高血糖 ≧110mg/dl

となっています。ここでは、TGは、危険因子として採用されています。

にもかかわらず、メタボリック症候群の受診勧奨基準としては、TG 300mg/dl以上とやや甘く設定されています。

臨床の現場でも、高中性脂肪(TG)血症はLDLほどには深刻には受け取られていないのも事実です。

 

TGは、エネルギー源として必要不可欠ですが、余剰TGは、体内、特に内臓脂肪として、蓄えられ、体重増加の主因となり、メタボの主役となっています。

また、TGには、LDLコレステロールのように、直接動脈硬化症をひきおこす作用はありませんが、悪玉LDLコレステロールを小型化することにより、それが血管内壁に入りやすくする作用があり、動脈硬化の発症・進展に悪影響を及ぼす因子と考えられています。

この観点から、高TGにも、注目してほしいと思います。

2018/11/22 木曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 9:31:25

心臓が弱ると「EFEjection Fraction(駆出分画)」が低下します

心臓はポンプです。血液を血管に送り出し(拍出)、全身の臓器に血液を供給する原動力です。心臓(主として左心室)の働き(心機能)をひと言で云えば、「拡張して血液を心室に蓄え(拡張能)、収縮してそれを拍出する(収縮能)」ことであり、これらの働きを総称して、「心機能」とよびます。

良い心臓はしなやかに拡張して、強力に収縮します。心機能を表す「EF」は、大きな値となります。悪い心臓では、EFは、小さくなります。EFとは何でしょう?

例えば、体重70Kg程度の男性では、1分間におよそ6L6000ml)の血液が循環しています。心拍数が1分間に60ならば1回の心拍出により、6000÷60100mlの血液が拍出される(心拍出量)ことになります。しかし、実際には、拡張期に蓄えられた血液量(拡張末期容量)の全てが拍出されている訳ではありません。心機能の良い心臓でも、一回に拍出されるのは、拡張末期容量の6080%です。例えば、拡張末期容量が200mlであれば、100mlは、その50%ということになり、やや低値ということになります。心拍出量÷拡張末期容量をEFと呼びます。

生体は、必要に応じて、心拍出量を保とうと適応します。心機能の低下(EFの低下)があるとき、心拍出量が低下しないように、拡張末期容量の増加で補おうとします。先述のEFの式を、心拍出量=EF×拡張末期容量と展開して下さい。つまり、悪い心臓では、拡張末期容量を大きくして心拍出量の低下を補おうとします。つまり心臓は拡大します。これが悪い心臓が大きくなる(心拡大)理屈です。

臨床の現場では、主として、心エコー法を用いて左心室の容量、心拍出量の計測、EFなどを計測し、心機能評価に役立てています。

 EFは、心機能、心不全等を論ずる上での重要な「キーワード」です。すこし難解かもしれませんが、理解するようにして下さい。

 

補足:心不全の症状や定義などを解説した最新のガイドラインを「つぶやき39」で紹介しました。あわせて、お読み下さい。

2018/10/25 木曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 11:09:46

HDLコレステロールは、血管壁から動脈硬化症の元凶であるLDLコレステロールを抜き取ります。このため善玉コレステロールと呼ばれます。これに対して、先のLDLコレステロールは、悪玉コレステロールと呼ばれています。

HDLコレステロールは、40mg/dl 以上であることが基準値とされています。これを下回ると、動脈硬化症のリスクが増します。因みに、LDLコレステロールの基準値は、<140mg/dlです。

一方、HDLコレステロール上限に関しては、明らかな基準値が定められていません。むしろ、高いことがよく、高値を見たとき、『長生き症候群』(longevity syndrome)と喜びさえします。

ところが、最近、これに対して異論が出されました。HDLコレステロール値90mg/dl 以上の超高値群では、それ以下の基準値群に比しむしろ動脈硬化性血管病が多いというものです。

LDLコレステロール血症の改善に対しては、「スタチン」と総称されている薬剤が有効で、既に広く用いられています。 しかし、HDLコレステロールを増加させる薬剤はまだなく、運動療法が唯一の方法となっています。低HDL血症の改善に臨床現場では苦労しています。

ところで、適当量のアルコール摂取は、HDLコレステロールを上昇させます。飲酒家には朗報(?)、ただし、飲みすぎは当然健康障害を引き起こします。

HDLコレステロール血症には、遺伝的素因、体質的因子の関与が大きく、食事療法、運動療法だけではその改善は困難とされています。従って、高LDLコレステロール血症、高中性脂肪血症、糖尿病など、併存する治療可能な動脈硬化症のリスクを少なくしておきたいものです。

2018/10/5 金曜日

とある取材・撮影♪

Filed under: キャンパスライフ, プライベート — yo @ 13:21:40

先日、とある取材・撮影が行われました!

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何やら五通先生とスポーツトレーナーの学生たちが

撮影されたようです。

この撮影は何なのか・・

また後日レポートしますね\(^o^)/

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2018/6/18 月曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 12:27:03

なぜ 肥満は健康障害を引き起こすか?

先に、(つぶやき2020160916)、「肥満症診療ガイドライン2016」(日本肥満学会)の紹介かたがた、肥満症について述べました。                 その節、「肥満はなぜ健康障害を引き起こすか?」については、稿を改めてと、しました。今回は、その続編です。因みに、肥満の定義は、BMI(体重Kg÷身長メートル÷身長メートル)>25です。

諸悪の根源は、「内臓脂肪」が多いことです。内臓脂肪とは、文字通り、内臓の周囲についた脂肪です。おなかが出っ張って「リンゴ型」になっている姿です。一方、女性に多い、腹部の皮下脂肪の沈着は、「洋梨型」「ラフランス型」と形容されますが、体重オーバーのため、膝を痛めることはあっても、所謂、肥満にもとづく病気(糖尿病、高血圧症、動脈硬化症など)の危険因子ではありません。内臓脂肪の計測は、腹部のCT検査によりますが、健診では、ウエスト周囲長(おへその高さの腹囲)が男性85cm女性90cmを超えるとき、内臓脂肪が多い、と考えます。

肥満の元、脂肪細胞の機能は、過剰のエネルギーを中性脂肪として蓄える「貯蔵庫」の働きしかない、と長い間考えられていました。しかし、実は、数多くの生理活性物質(サイトカイン)を、産生しています。これらは、「アディポサイトカイン」(アディポ:脂肪)と総称され、現在、11種知られています。この中には、その活性が低下すると健康障害に通じる「善玉サイトカイン」(アディポネクチン、レプチン)もありますが、他は、肥満に関連する健康障害(糖尿病、脂質異常症、動脈硬化症、高血圧症など)を起こす、「悪玉サイトカイン」(TNF-α,遊離脂肪酸、インターロイキン-6、PAI-1、等)です。

内臓脂肪は、善玉アディポサイトカインの活性を落とし、悪玉アディポサイトカインの活性上げ、種々の所謂肥満症関連疾患を発症させることにつながり、よってもって、「諸悪の根源」と云うことになります。

内臓脂肪は、運動や減量により、比較的容易に減らすことが出来ます。諸悪の根源を絶つよう、努めてください。

2018/4/10 火曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 11:25:34

肺高血圧症

通常の血圧、即ち体血圧は、収縮期圧120mmHg 、拡張期圧80mmHg程度です。一方、肺動脈圧は、収縮期圧20mmHg 以下です。拡張期圧も、測定は可能ですが、小さい値なので、通常平均肺動脈圧(mPAP)で表します。この値が25mmHgを超えるとき、肺高血圧と定義されます。体血圧を凌駕するほどの高血圧になることもあります。

肺動脈圧は、直接的には、右心カテーテル法により測定されますが、現在では、心エコー法により推定されるのが一般的です。

さて、肺高血圧症は、比較的まれな疾患で、注目度が低い病態ですが、治療法をはじめ、病態解明など未解決のことが多く残されています。

その症状は、ありふれた症状で、その分、見逃されている可能性がある病態でもあります。症状として多いのは、労作時の息切れ、浮腫、倦怠感などです。

頻度のたかいものは、息切れです。同年齢の人に比べて、同じ作業・労作をしたとき、早めに息切れや、倦怠感などにより、労作時を中断せざるを得ない、息切れの回復が遅い、などが最初の訴えとして気づかれること多いようです。この時、心不全や、呼吸器疾患と診断され、発見が遅れてしまいます。

むくみ(浮腫)にも特徴があります。その原因は、肺動脈圧を反映した右心不全です。静脈系の鬱滞が著明になります。手足のむくみが一晩くらいの安静では解消せず、肝臓など内臓のむくみのために腹満、もたれ、等の消化器症状が出てきます。

利尿剤に対する反応も鈍く、尿は出てもむくみは退かない、などジレンマに陥ります

肺高血圧症は、種々の原因により肺小動脈壁の変化が起こり、肺血管抵抗が増し、発症します。この高血管抵抗を改善する薬剤は、今のところ十分薬効を発揮しているとはいえません。

現在、全世界的に、病態解明と治療薬開発が進められていますので、その成果を期待しましょう。 

2018/2/22 木曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 9:57:52

血圧の季節変動:冬は高く、夏は低い

血圧は、「冬は高く、夏は低い」.この血圧の季節変動は、多くの人がそう思っていることです.私自身も、経験的に、そのように考えておりました.ところが、驚いたことに、これの裏付けとなる大規模な研究成績は、これまでのところ見当らず、経験的、感覚的に、認識しているものでいた。.

最近、この考えを裏打ち出来る、大規模研究成績(Big Data)(BMJ Open誌 20182月)が発表され、医療現場としては、力強い援軍を得たと、意を強くしています。今回は、その中の「収縮期血圧」に関する結果の一部を紹介しましょう。

解析の対象となったのは、日本人約45千人(平均年齢53歳、男83%、 降圧薬服用者39%).血圧は個個人の生活の中で測定され、データは、自動的にインターネット上のサーバーに送信、蓄積する方法で、収集されました.(オムロンヘルスケア社構築ウエルネスリンクシステム)

その結果で、収縮期血圧の変動を見てみると、血圧値のピークは12月、ボトムは7月(データ収集24ヶ月)で、われわれの「フィーリング」と一致するものでした.寒い時期に、血圧は高値となり、心臓発作や、脳卒中が心配されるのも、データとして頷けるということです.

血圧以外にも、「経験的に」理解していても、多数のデータとしての裏付けに乏しいものも多くあります.今後この様なICT(情報通信技術)を活用して、従来把握することが困難であった多様な健康関連ビッグデータが得られるようになり、健康管理に役立たせることが出来る様になることが期待されます.

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