2022/4/25 月曜日

ドクターハートのつぶやき(83) 

Filed under: プライベート — yo @ 14:07:29

心筋梗塞後のマクロファージ浸潤の意味について
  

福岡医療専門学校 顧問  桑木絅一(循環器専門医)

     心筋梗塞後のマクロファージの浸潤とその役割について

 心筋梗塞後壊死に陥った心筋には、マクロファージ(大型の一種の白血球)が、浸潤します。
心筋梗塞発症後、初期の段階では、まず炎症性マクロファージが浸潤し、心筋梗塞によりダメージを受けた組織を、炎症によって破壊、貪食します。
次いで、組織の修復を司るマクロファージの浸潤が続きます。これは、血管新生や繊維化を行い、梗塞心筋の瘢痕治癒化に寄与しています。
梗塞後の心不全は、梗塞により心筋収縮力が低下したために発生すると一般的には考えられていますが、この考えかたでは理解できない、心不全発症機序、即ち、「マクロファージ機能不全」、もあることが分かってきました。
即ち、梗塞心筋のいわば後始末、地ならしの作業のなど、一連のマクロファージによる心筋の「メインテナンス」不良によるもの、が原因であるものもある、といった新しい考え方です。
梗塞後の心不全を見るとき、心筋のダメージにのみとらわれないで、見かけ上、軽度のダメージでも心不全が発症する、即ち、マクロファージによる心筋のメインテナンス不良によるものもあるという、別の観点からの見方も念頭に置くべき、ということです。

2022/4/4 月曜日

ドクターハートのつぶやき(82)

Filed under: プライベート — yo @ 14:31:32

肺動脈血栓塞栓症(Pulmonary Artery TromboEmborysm)後に残った肺高血圧症

福岡医療専門学校 顧問  桑木絅一(循環器専門医)

 肺動脈圧は、右心室によって生み出されます。従って、当然、動脈圧つまり、血圧(左心室圧)に比べれば低値です.正常値は20mmHg以下です。
広い範囲の、とくに細い、肺動脈が 血栓により慢性的に狭窄・閉塞され、肺動脈圧が上昇、肺高血圧が進行します。肺高血症の症状は、息切れや動悸など、本症以外でもよく見られる、非特異的なものが多く、初めのうちは目立ちません。肺高血圧が6か月以上持続すると、やっと右心室の拡張や、肥大、頑固なむくみなど、右心系心臓障害の特徴的な症状がみられるようになります。 
 肺高血圧症の原因となる肺動脈血栓塞栓症(pulmonary artery thrombo-emborysm PATHE)は対しては塞栓症発症初期であれば、血栓除去術、肺動脈内膜形成術、など、外科的なアプローチが可能ですが、成績は悪く、結局、肺高血圧を残してしまいます。
本症の長期予後は悪くリハビリや再発予防に委ねることになります。

2022/3/22 火曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 8:32:56

心機能を表す「EF」(Ejection Fraction 駆出分画)について

福岡医療専門学校 顧問  桑木絅一(循環器専門医)

「心筋梗塞発症後、心機能が低下し、心不全に陥った」という話を聞いたことがあるでしょう。今回は、この「心機能」を表す代表的な用語、EFについて解説します。
 単に心機能というときは、左心室の働き具合をいいます。左心室は、その拡張期に血液を蓄え、収縮期に拍出します。この左心室が1回に拍出するボリュームを1回心拍出量といいます。そして、拡張期の左心室容量の何%が拍出されたか、をEF ejection fraction 駆出分画といいます。心拍出量は左心室容量の全てではなく、正常でもその60%程度です。この時EF 60といいます。心機能が低下して、EF 30以下になると、心不全に陥ることになります。これをHFrEF(heart failure with reduced ejection fraction)と表現します。心機能の低下がないにもかかわらず、心不全に陥ることもあります。これは、HFpEF (heart failure with preserved ejection fraction)です。行き過ぎた補液の結果などにみられます
 このように、心不全を起こしている心機能状態を、EFを併記することにより、心不全がなぜ生じているのか、より具体的に理解することが出来ます。
なお、心室の容積は、心エコー法により、容易に求めることが出来ます。

2022/1/25 火曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 17:46:48

虚血性心疾患の新しい考え方
急性冠症候群と慢性冠症候群

福岡医療専門学校 顧問  桑木絅一(循環器専門医)

 虚血性心疾患(=冠動脈疾患 )Ischemic Heart Disease IHDは、心筋が代謝に必要な十分な血液を受け取ることが出来ず、酸素不足に陥り、心機能が障害される疾患と定義されます。
 これは、これまでと違って、すっきりと、急性冠症候群Acute Coronary Syndrome ACSと、慢性冠症候群Chronic Coronary Syndome CCSとに分類され、それぞれに異なった対応となります。。
 ACSは、これまでと同様に、急性心筋梗塞や不安定狭心症、など緊急カテーテル治療(PCI)など、急性心筋梗塞発症を想定した対応になります。これに関しては、多くの施設が、熱心に取り組んでいたり、関連するネットワークが構築されたり、救急体制が整ったり、それなりの成果を上げています。

 一方、CCSは、心筋梗塞疑いの胸痛を訴える症例から、冠攣縮性狭心症、微小血管狭心症、など、未だ原因不明の多くの狭心症を含み、生涯にわたって、如何にしてACSを発症させないようにするか、に課題が残っています。即ち、薬物による治療や、生活改善への介入、など、主に内科的な治療が継続されます。 
 さらに、予防的冠動脈再建なども必要となることもあります。即ち、疾患としては、治癒していないということです。総合的な、経過観察、管理が、生涯にわたって継続されます。必要となります。
 それが、CCSとして、最重要ポイントです。

2022/1/7 金曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 9:30:24

腎デナベーション
     福岡医療専門学校  顧問  桑木絅一(循環器専門医)

 腎臓は、交感神経を介して循環体液量の調節をしています。即ち、腎血流が減少した時に、それを感知して、その血流量を増やすために血圧を上昇させようとします。そして、その機能が破綻すると、必要もなく血圧をあげ、コントロールしにくいいわゆる治療抵抗性高血圧症や、高血圧性心不全などの発症につながります。
 この時、交感神経系経路を遮断してしまおう、というアイデアが出てきました。すなわち、腎交感神経遮断術(renal sympathetic denervation、腎デナーベーション(RDN)です。
 デナーベーション(交感神経遮断術)は、経カテーテル的に組織破壊用カテーテルを腎動脈に進め、そこに電流や超音波など腎動脈を内側から破壊する刺激を与えます。
 破壊の方法としては、電流のほかに、アルコール、超音波、などが用いられています。
 腎デナーベーションの結果としては、なかなか下がらなかった血圧が旨くコントロールできた、心不全発症や不整脈発現の予防につながった、など良い成績が報告されています。
 高血圧が再発しないか?に関しては、この治療法がまだ治験段階であるところから、十分な検討が進んでいないのが現状です。
 とはいっても、高血圧症治療の選択肢としておおいに期待されています。

2021/11/24 水曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 16:50:02

ACS急性冠症候群 と CCS慢性冠症候群
福岡医療専門学校 顧問 桑木絅一(循環器専門医)
 
 心筋は、十分な血液の供給を受けられなくなると、酸素不足に陥り、心機能は損なわれます。これが虚血性心疾患Ischemic Heart Disease IHDです。
これは、心筋に血液を供給しているのが冠動脈であるところから、冠動脈疾患Coronary Artery Disease CADとも呼ばれます。
 IHD、CAD の中でも、急性心筋梗塞 Acute Myocardial Infarction AMIは、生命を脅かす病態で、その治療、予防に精力的にとりくんでいるところです。しかし、発症直後に、AMIと診断することは、よく似た病態が多いところから難しく、AMIを想定した仮の病名 即ち、急性冠症候群ACS Acute Coronary Syndomeと呼ばれ、まずAMIに準じて治療が開始されます。
 他方、慢性冠症候群CCS Chronic Coronary Syndrome とは、以下の様な病態に名付けられています。即ち、AMIに似た胸痛がある ⊃管堊款評がある ACSまたはCCSに対しての冠血行再建1年以内 CCS診断または血行再建1年以内 ペ蚕明または微小血管狭心症 μ犠標性CAD と定義されています。
 即ち、冠動脈壁の動脈硬化性プラークの破裂によりACSを発症しうる病態です。従って、生涯にわたって動脈硬化症に対する管理が必要である、疾患としては治癒していない状態を指しています。
 以前には、安定狭心症と呼ばれていたこともあり、あたかも疾患として治癒した状況にあるような雰囲気に誤解されることもありましたが、常にACSの発症を警戒しなければならないという観点から CCAという名称が一般的となりました。
 しかし、CCSは、ACSに比べるとまだまだ普遍的ではありません。ACS同様に認知度が上がり、CCSも普通に通用するようになって欲しいと考えます。

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2021/10/27 水曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 15:47:55

 左房機能と左心不全

   福岡医療専門学校 顧問  桑木絅一(循環器専門医)

 左心房(左房)は、肺静脈開口部で肺とつながり、僧帽弁を介して、じ、右心室に連結しています。
 左心房は、肺で酸素化された血液を受け(導管)、一時貯留(reserver)、そして左心室の拡張開始直前、左房内に残った血液を絞りして左心室へ送り出す(ブースターポンプ)のがその役目です。これらの役目(左房機能)を果たしやすいように、左房壁は薄く、柔軟性に富んだ組織でできています。
 左房機能は、心房細動が長く続いた後や、何らかの原因で心房筋の変性(心房壁の柔軟性欠如)(Stiff LA症候群)などにより損なわれます。
 心房は、通常は、血行動態に関与することはすくないですが、何らかの原因で左房機能が損なわれると、左室機能は保たれているにも関わらず、左室機能不全を起こし、心不全におちいることがあります。
 原因が明らかでない心不全に遭遇したとき、この左房機能不全は、常に念頭に置かなければならない病態の一つです。

2021/9/18 土曜日

【コロナ禍でも活躍する学生】理学療法科4年生 古井 萌さん

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小学校3年生からエアロビクスやダンスを学んできた理学療法科4年生の古井萌(ふるいもえ)さんは、コロナ禍に負けず、西日本新聞TNC文化サークルのK-POPダンス教室の講師として活躍しています。
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先日、脳性まひのプロマジシャン森裕生さんにK-POPダンスを教える機会があり、その時の様子が9月9日の朝日新聞に掲載されました。
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森さんが開設したYouTube「はんでいぎゃっぷちゃんねる」で実際の様子がご覧できます。曲は、韓国人気グループBTSの「Dynamite」。

古井さんは、踊れる理学療法士を目指し、日々国家試験合格に向けて頑張っています。

実際の様子をご覧になるにはこちら
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2021/9/7 火曜日

柔道整復科2年生が九州・西日本学生ボディービル&フィジーク選手権に出場しました。

2021年9月5日(日)、福岡国際会議場にて、南は沖縄から東は岐阜県までの学生が集まって、九州・西日本学生ボディービル&フィジーク選手権が開催されました。
その中、本校柔道整復科からも2年生3名が出場し、初参加ながら各自入賞と大健闘しました!
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観戦人数が制限される中、クラスメイトが応援に来てくれました。

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広大な国際会議場の3Fメインホールで開催。感染症対策もしっかりと施されていました。

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出場前のウォーミングアップをクラスメイトがお手伝い。

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ド派手な演出で登場!

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3名とも驚きの仕上がり!😲

↓みんなの応援もあって、初出場ながら全員が入賞しました👍
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(左)柔道整復科2年 白波 大喜君:フィジーク部門 西日本8位入賞
(中)柔道整復科2年 緒方 大稀君:フィジーク部門 九州10位、ボディービル部門 九州9位入賞
(右)柔道整復科2年 松永 昴士君:ボディービル部門 九州3位入賞

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特別ゲストの2019年世界ジュニア・フィジーク・チャンピオンである穴見選手と記念撮影!
穴見選手は福岡市出身で、学生時代は本校附属の福岡医療学院整骨院にコンディショニングケアで通ってくれていました。

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福岡医療らしい仲間想いの応援は、間違いなく会場No.1でした😊

想像を超える盛り上がりで、我々教員も学生から大きな刺激をもらう1日となりました。
学生生活もみんなで頑張りましょうね!

2021/8/25 水曜日

ドクターハートのつぶやき

Filed under: プライベート — yo @ 10:44:14

ダイアモンドプリンセス号のコロナクラスター回避物語

福岡医療専門学校 顧問  桑木絅一(循環器専門医)
 
2020年2月3日、乗客・乗員3700名の豪華クルーザーダイアモンドプリンセス号に、700名余のコロナ患者が発生しました。停泊地が横浜港であった関係で、横浜市大救急部が対応することになりました。この多人数では当然、通常の救急入院では対応不可能です。そこで、層別して、考えることになりました。
まず、医療的緊急度と重症度によって、3組に層別しました。
PCR陽性、陰性にかかわらず、緊急治療が必要であると判断されたもの:横浜市消防局の救急車にて、地元横浜救命救急センターへ。則ち横浜市大関連救命救急施設へ、直ちに治療対応。
PCR陽性、有症状者:民間の救急車で県内、近県の救急病院へ。
PCR陽性であるが、バイタルが安定している:自衛隊のバスなどで、遠方の医療機関へ。
この振り分けに、横浜市大救急部が当たりました。

ここで注目して欲しいのは、患者選別もさることながら、近隣の医療施設や、自衛隊などを活用していることです。このことは、常日頃からの診療のみならず、あるいみ、政治的な関係構築がうまくいっていたということです。
横浜市大救急部に拍手。

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